
泉佐野市のふるさと納税が人気!裁判の経緯やおすすめ返礼品を解説
ふるさと納税で多くの寄付を集めてきた大阪府泉佐野市は、一時はふるさと納税制度から除外されますが、裁判を経て復帰。
2023年度は寄付受入額で全国第3位に輝くなど、人気の自治体となっています。
しかし一方で2025年現在、再び国との裁判で注目されています。
この記事では、そんな泉佐野市のふるさと納税裁判の経緯や返礼品の還元率ランキング、そして人気の高いおすすめ返礼品をご紹介します。
目次
ふるさと納税で注目!泉佐野市とは
泉佐野市は、大阪府の南西部に位置する都市です。大阪湾に面しており、和歌山県との境界には和泉山脈が連なり、美しい自然にも恵まれています。
関西国際空港の開港などにともない商業・サービス業が盛んになり、現在の人口は99,000人超(2025年3月末時点)。阪神高速や阪和自動車道、JR阪和線・空港線などの広域交通網が整備されており、大阪の都心部へのアクセスも良好で、充実した輸送ネットワークを持ちます。
ふるさと納税制度の歩みと泉佐野市
泉佐野市は、過去の財政難を教訓として「国に頼らない自主財源の確保」を目指し、ふるさと納税制度の創設初期から工夫を凝らして多くの寄付を集めてきました。
ふるさと納税では一般に、人気の地場産品を持つ自治体が多額の寄付を集める傾向にあります。特に「肉・カニ・米」はふるさと納税において、「三種の神器」と呼ばれる人気返礼品となっています。
しかし泉佐野市はこのような人気の地場産品に乏しいため、還元率の高い商品や、地場産品以外の商品である金券類も返礼品として提供することで、寄付を集めていました。
ふるさと納税ブームの到来も追い風となり、泉佐野市は2017年度から3年連続で、寄付受入額全国トップの座を獲得。2018年には、約498億円を集めました。
総務省による返礼品規制
ふるさと納税ブームの高まりとともに、自治体間の競争が激化。高還元率の返礼品やギフト券などの換金性の高い返礼品などが、多くの自治体において提供されていました。
このことを受けて総務省は2015年、返礼品についての規制を導入。返礼割合(還元率)を寄付額の3割以下にすることや、返礼品を地場産品のみにすることなどの通知を再三、自治体に対して行いました。
これに対し泉佐野市は「地場産品規制は、特産品資源の豊富な自治体とそうでない自治体間で格差を生む」と主張し、国に対して見直しを要請してきました。
ふるさと納税制度からの除外と復帰
そのようなやり取りの中、総務省は2019年にふるさと納税の「指定制度」を施行。泉佐野市を含む、計4つの自治体がふるさと納税制度から除外されました。
2018年11月以降も返礼割合3割超の返礼品や、地場産品以外の返礼品を提供したことなどが理由として挙げられています。
泉佐野市はこの決定を不服として裁判に至り、最高裁で逆転勝訴。2020年7月にふるさと納税制度に復帰しています。
泉佐野市のふるさと納税が再び裁判に。特別交付税問題とは
2025年現在、泉佐野市は再び、国(総務省)と係争中の訴訟をめぐって注目を浴びています。それは、特別交付税の減税をめぐる訴訟です。
前述のように泉佐野市は、2018年度のふるさと納税で、全国の地方自治体で最高額となる約498億円の寄付金を集めました。
すると総務省は2019年に省令を改正し、特別交付税額について、寄付金収入を考慮した算定方法を導入。
2019年度の泉佐野市への特別交付税額は、前年度比89%減の約5,300万円となりました。
一審:泉佐野市の訴えを認める、二審:泉佐野市の訴えを却下
泉佐野市は2020年、特別交付税の減額を違法として、国に取り消しを求める訴訟を提起しました。
第一審で大阪地裁は、2021年の中間判決で「裁判対象になる」との判決を出したのち、2022年の判決で国の減額決定を取り消しました。
しかし2023年の第二審で大阪高等裁判所は、減額決定を「違法」とした第一審の大阪地裁の判決を覆し、泉佐野市の訴えを却下しました。
「行政同士の争いは行政内部の調整で解決されるべきものであり、裁判の対象にならない」と判断したためです。
泉佐野市はこの判決を不服として、上告します。
最高裁が高裁差戻しの判決
2025年2月、最高裁判所は第二審判決を取り消し、審理のやり直しを命じる判決を出しました。
この上告審では、「特別交付税の分配に関する国と自治体との紛争が、そもそも裁判の対象になるのか」という点が争点となりました。
最高裁判所の第1小法廷は、「特別交付税の減額の取り消しを求める訴訟は、具体的な権利義務や法律関係に関する紛争にあたる」とし、「裁判の対象になる」という判断を示しました。
このため今後、大阪高等裁判所で「特別交付税の減額決定が違法だったか」などの点が、改めて審理されることになります。
泉佐野市は国に対し、特別交付税決定の算定根拠などが十分に明らかにされていないことなどを挙げ、算定の根拠や理由などを自治体に明示することを求めています。
参考:泉佐野市「特別交付税(令和5年度3月分及び令和6年度3月分)の減額に係る国への意見申出の提出について」
ふるさと納税における泉佐野市問題の意義
国(総務省)を相手取った2つの裁判の一連の過程で泉佐野市は、ふるさと納税制度が抱える課題や改善点などを積極的に提起。自治体運営のあり方や地方の実情などについて、議論が巻き起こるきっかけとなりました。
また、現在進行中の特別交付税の減額取消訴訟では、「国」と「自治体」という政権の主体同士の紛争の解決に、法律が介入できるのかという問題も焦点となっており、注目を集めています。
地場産品の乏しさという問題を抱える自治体は、泉佐野市だけではありません。
それらの自治体の中で、国に積極的に問題を提起し、後述するさまざまな取り組みによりふるさと納税においても人気を博している泉佐野市は、ふるさと納税におけるリーダー的存在であるといえるでしょう。
ふるさと納税、泉佐野市の現在
国と係争中の泉佐野市ですが、一方でふるさと納税界では人気がうなぎ登り。2023年度の寄付受入額は全国3位の約175億円で、前年度から約37億円、約27%の増加をみせました。
ふるさと納税制度への復帰後は、各ふるさと納税ポータルサイトでも寄付を受け付けているほか、市直営のふるさと納税特設サイト「さのちょく」も運営。
地場産品の乏しさを補うための試みもスタートさせており、ふるさと納税制度を利用したクラウドファンディングで集めた資金を利用して、新たな地場産品の開発事業を行う「#ふるさと納税3.0」制度を実施。
この制度はすでに実を結び始め、後述するいくつもの人気返礼品が生まれています。
泉佐野市のふるさと納税への取り組み・特産品
泉佐野市のふるさと納税における取り組みや、特産品を紹介します。
#ふるさと納税3.0
#ふるさと納税3.0は、地場産品に乏しい泉佐野市が新たな地場産品をつくり出すために創設した制度です。
事業者から、「新たな地場産品」の企画を公募し、実現のための資金をクラウドファンディング型ふるさと納税で募集。
クラウドファンディングでの寄付が目標金額に達した場合は企画が採択され、寄付金の一部が事業者に「補助金」として交付される制度です。
寄付者には、町づくりに参加し、日本の地方活性に貢献できるというメリットがあります。もちろん、企画である返礼品が実現し生産された際は、返礼品としていち早く入手することができます。
応募する事業者には、補助金を活用して新たな事業展開ができ、ふるさと納税の返礼品として継続的な受注が見込めるというメリットがあります。
「#ふるさと納税3.0」からは「牛ハラミ肉 秘伝の赤タレ漬け」や「牛タン暴れ盛り」、クラフトビールメーカーのヤッホーブルーイングのビール「よなよなエール」などの人気返礼品が生まれています。
泉州タオル
泉佐野市を含む大阪の「泉州地域」は、約130年の歴史と伝統を誇るタオルの産地です。
泉州地域で生産されるタオルは「泉州タオル」と呼ばれ、愛媛県今治市で生産される「今治タオル」と並んで、日本のタオルの2大ブランドとなっています。
泉州タオルの特徴は、「後晒(あとさらし)製法」と呼ばれる製法です。
「さらし」とは、糸に付着している油分や糊などの不純物を取り除き、漂白・水洗いをして白くする工程のことです。
一般のタオルは、タオル生地を織る前に「さらし」の工程を行います。一方泉州タオルの後晒製法では、「さらし」の工程を、タオル生地が織り上がった後に施します。
このことで綿本来の優れた吸水性が生かされ、肌ざわりの良いタオルが生まれます。
また、織り上がった生地が徹底的に洗われているので清潔で、「おろしたてのタオルをそのまま使える」と好評を博しています。
泉州たまねぎ
泉州地域は玉ねぎ栽培の歴史が古く、「日本のたまねぎ栽培の発祥の地」ともいわれています。
「泉州タマネギの父」と呼ばれる坂口平三郎氏が神戸の料亭で玉ねぎの味に有望性を感じ、外国商館のアメリカ人より玉ねぎを譲り受けて、栽培を始めたとされています。
泉州たまねぎは甘みがあり、水分が多く肉厚で、やわらかいことが特徴です。
泉佐野市の返礼品還元率ランキングTOP30!
泉佐野市のお得な返礼品が知りたい場合は、返礼品の「還元率」に注目してください。
還元率とは「その返礼品が、実売価格(店舗での販売価格)に対してどの程度お得なのか」を示す指標で、以下の計算式で算出されます。
還元率(%) = 返礼品の実売価格(送料含む)÷ ふるさと納税の寄付金額(円)× 100
還元率は、数値が高いほど「お得な返礼品」だといえます。
ここでは、泉佐野市の高還元率返礼品をランキング形式でご紹介します。
このランキングは寄付金額やレビュー件数、ふるさと納税ポータルサイトなどの条件でも絞り込めます。
レビュー件数の多さは「多くの人が申し込んでいる」ことを示すので、返礼品の人気の高さを表します。したがって「レビュー件数」で絞り込むと「人気ランキング」としてご覧いただけますよ。
泉佐野市のふるさと納税のおすすめ返礼品
地場産品の乏しさを工夫で乗り越え、数々の大人気返礼品を生み出している泉佐野市。特に申し込みの多い人気返礼品をご紹介します。
まとめ
泉佐野市のふるさと納税をめぐる裁判の経緯や、ふるさと納税への取り組みなどについて解説しました。
ふるさと納税制度の創設初期から積極的に寄付を集め、制度についても国に対して積極的に問題提起をしている泉佐野市。
地場産品の乏しさという不利な点を独自の取り組みで克服し、現在は魅力的な数々の返礼品を展開。「泉佐野市のふるさと納税はいつも楽しい!」との声も多く聞かれます。
次々と新しいアイデアを打ち出して寄付者を楽しませる泉佐野市を、ぜひ応援してくださいね。