ふるさと納税、10の注意点。同じ自治体への寄付や住所の申告は?
ふるさと納税制度をお得に活用するために押さえておきたい10の注意点について解説します。
同じ自治体に複数回寄付する場合、申し込みの際に記載する住所について、ワンストップ特例制度を利用する場合や医療費控除と併用する場合など、ケース別に注意しておきたい点をご紹介します。
これらの注意点をふまえておけば、ふるさと納税をお得に、スムーズに活用できます。寄付をする前に、ぜひご一読ください。
目次
1. 同じ自治体に複数回寄付するときの注意点
Q.同じ自治体に複数回寄付できるの?
A.できます。ただし、自治体によっては返礼品がもらえない場合もあります
1年の間に、同じ自治体に複数回寄付をすることは可能です。
ただし自治体によっては、年間の返礼品の受け取り回数に「1年間に1回のみ」などの制限を設けている場合もあります。
例えば返礼品の受け取り回数が「年1回」となっている場合では、2回目以降の寄付では返礼品は発送されません。
しかしこの場合も、その寄付額を控除の申請に含めることができます。
2. 返礼品がもらえないことも?寄付する際の注意点
Q.返礼品がもらえないこともあるの?
A.自分が住んでいる自治体に寄付した場合など、返礼品がもらえないこともあります。
ふるさと納税の寄付では必ず返礼品がもらえるわけではなく、返礼品がもらえない場合もあります。
例えば、自分の住民票登録のある自治体に寄付をすることは可能ですが、返礼品はもらえません。
具体的には、「住民税決定通知書」に記載されている「都府県税」と「市区町村税」の納税先への寄付では返礼品がもらえません。
また、寄付の種類によっては返礼品の用意がない場合もあります。
例えば、以下の場合が該当します。
・災害支援が目的の寄付
・ふるさと納税とクラウドファンディングが合体した形の「ガバメントクラウドファンディング」の一部のプロジェクト
・ふるさとチョイスの思いやり型返礼品プロジェクト「きふと」の一部
・「「お礼の品とポイント」不要の寄付をする」を選択した場合(ふるさとチョイス) など
ガバメントクラウドファンディング
きふと
3. 寄付金額についての注意点
Q.ふるさと納税は、いくらまで寄付できますか?
A.寄付金額に制限はありませんが、税金から控除される金額には上限があります
ふるさと納税では、「1年間の総寄付金額ー2,000円」の額が、寄付をした年の所得税や翌年の住民税から控除されます。
寄付できる金額に制限はありませんが、税金から控除される金額には上限が設定されています。この上限額は「控除上限額」と呼ばれます。
控除上限額は総務省が定めており、年収や家族構成などの条件にもとづいて段階的に異なる金額が決まっています。
控除上限額を超えた分の寄付は控除されない
控除上限額を超えて寄付をした分の金額は税金からは控除されず、「純粋な寄付」となります。
このため、自分の控除上限額をあらかじめ知っておき、控除上限額の範囲内で寄付をすることが、ふるさと納税制度をお得に活用するポイントとなります。
控除上限額を試算できる「シミュレーター」
控除上限額の計算式は複雑ですが、「シミュレーター」を使うと簡単に試算することができます。
あなた(寄付者様)の給与収入必須
あなたの家族構成必須
シミュレーション結果
までのふるさと納税が控除の目安となります。
- 本フォームは総務省ポータルサイトの早見表に基づき設計しております。総務省ポータルサイトの早見表はこちら。
- シミュレーション結果はあくまで寄付上限額の目安となります。
より正確な金額を知りたい場合はお住まいの自治体もしくは税理士等にご相談ください。 - シミュレーション結果に関する、何らかのトラブルや損失、損害等が発生した場合にも、一切の保証をいたしかねます。
また楽天ふるさと納税の「詳細版シミュレーター」を使うと、住宅ローン控除や医療費控除、iDeCoなども考慮した控除上限額の試算ができます。
4. 寄付しただけでは控除されない
Q.寄付をすると、自動的に税金から控除されますか?
A.いいえ、控除の申請手続きが必要です
ふるさと納税の控除を受けるには、寄付をした後に、控除の申請を行う必要があります。
ふるさと納税の控除の申請方法には「ワンストップ特例制度」の利用と確定申告の2通りがあります。
ワンストップ特例制度とは、申請書を寄付先の自治体に送るだけで控除が受けられる、便利な制度です。
ただし利用するには、「確定申告をする必要のない給与所得者等であること」などの条件を満たしている必要があります。
給与所得者でない個人事業主や、年間の寄付先が6自治体以上の場合などには確定申告を行います。
確定申告でのふるさと納税の控除額は、「寄附金控除」にて申告します。
5. ワンストップ特例制度に関する注意点
Q.ワンストップ特例制度を利用する際に気をつけることはありますか?
A.寄付先の自治体数や、申請書の提出期限などに注意が必要です
ワンストップ特例制度を利用する際は、以下の点を確認しておきましょう。
利用の条件
ワンストップ特例制度は、以下の3点を満たす場合に対象となります。
・確定申告をする必要のない給与所得者等であること
・ふるさと納税以外にも、確定申告行う必要がない場合
・年間の寄付先が5自治体以内である
*同じ自治体へ複数回寄付した場合は「1自治体」としてカウントされます。
申請書の提出は1月10日必着
寄付をした年の翌年の1月10日までに、寄付先の自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出します。
同じ自治体に複数回寄付した場合でも、寄付ごとに毎回、申請書を提出する必要があります。
申請書は、1月10日までに自治体に到着している必要があります。
年末年始は自治体の役所が休みになるので、年末近くに寄付をした場合はなるべく早く郵送するようにしましょう。
確定申告をすると、ワンストップ特例制度は無効に
ワンストップ特例制度の申請を行った後に確定申告を行うと、ワンストップ特例制度の申請は無効となります。
このため、確定申告にて再度、ふるさと納税の控除の申請も行う必要があります。
例えば、ワンストップ特例制度の申請をした後に一定額以上の医療費が発生し、医療費控除の申請を行う必要が出てきた場合などがあてはまります。
6. 寄付時に記載する住所の注意点
Q.いま住んでいるところと住民票があるところが違う場合はどうするの?
A.ふるさと納税を申し込むときは、住民票の住所を入力してください
ふるさと納税では「年間の総寄付金額ー2,000円」の額が所得税と住民税から控除されるため、寄付申し込みの際に記載する住所は、課税地の住所と同一である必要があります。
住民票の住所と課税地が異なる場合は、自治体により必要な手続きが異なるため、課税地の自治体にお問い合わせください。
Q.ふるさと納税をした後に引越しました。必要な手続きはありますか?
A.寄付のお申込み時は、ふるさと納税(ワンストップ特例申請を含む)を行った年の、翌年1月1日時点での住民票の所在地を登録する必要があります。このため、引越した場合は手続きが必要となることがあります
引っ越した場合に必要な手続きは、状況により以下のように分かれます。
返礼品や必要書類を自治体から受け取る前の場合
寄付先の自治体に、住所を変更した旨の連絡をしてください。
自治体の連絡先は、ふるさと納税ポータルサイトの自治体ページの「お問い合わせ先」、または返礼品の申し込み完了メールに記載されているお問い合わせ先をご参照ください。
返礼品を受け取り後、ワンストップ特例の申請書を提出する前に引っ越した場合
寄付先の自治体へ、必要な手続きをお問い合わせください。
控除申請に関する手続き
控除の申請は、寄付の翌年1月1日時点の住民票の内容で行う必要があります。
寄付をした翌年の1月1日までに住民票を異動した場合は、以下の手続きを行ってください。
なお、寄付をした翌年の1月2日以降に住民票を異動する場合は、手続きは不要です。
・ワンストップ特例制度を利用する場合
寄付先の自治体に、住所変更の届出書を提出します。
届出書の用紙は、寄付先の自治体に送付を依頼するか、またはふるさと納税ポータルサイトからダウンロードすることで入手できます。
・確定申告を行う場合
確定申告書は、寄付をした翌年の1月1日時点の住民票に記載されている内容で行います。
確定申告書の提出先も、寄付をした翌年(確定申告書を提出する年)の1月1日に住民票がある住所の所轄税務署となります。
7. 医療費控除と併用する場合の注意点
Q.医療費控除とふるさと納税の控除は併用できますか?
A.併用できますが、確定申告が必要となります
医療費控除は、確定申告にて申告する必要があります。
このため、医療費控除とふるさと納税の控除を併用する場合はワンストップ特例制度は利用できず、確定申告を行うことになります。
また、医療費控除により課税所得の額が変わるため、ふるさと納税の控除上限額も変わることにも注意が必要です。
医療費控除の額を入力できる控除上限額シミュレーターで、控除上限額を試算しておくといいでしょう。
8. 寄付と控除の申請の名義についての注意点
Q.専業主婦です。私の名前で寄付しても主人が控除を受けられますか?
A.いいえ、控除を受ける本人が自分の名義で寄付をする必要があります
ふるさと納税の寄付額の税金の控除は、寄付者本人の課税額に対して行われます。
このため、控除を受けたい本人が自分の名義で寄付を行い、控除の申請も寄付者本人が自分の名義で行う必要があります。
9. 返礼品申し込みについての注意点
Q.返礼品はいつでも申し込めますか?
A.いつでも申し込めますが、品切れになることがあるため、早めのお申し込みがおすすめです
ふるさと納税ポータルサイトからは、365日24時間、いつでも返礼品を申し込むことができます。
ただし、同じ返礼品が常に用意されているわけではありません。数量限定の返礼品もあり、人気の高い返礼品は品切れになることもあります。
また、家電製品の返礼品は入れ替わりが激しい傾向にあります。
このため、欲しい返礼品を見つけたら、早めに申し込むことがおすすめです。
また、野菜や果物などの「旬」のある食品や、おせち料理などの季節性の高い返礼品は、旬や季節の時期の数ヶ月前から「先行予約返礼品」の受付が始まります。
人気の高い返礼品は、旬の時期を迎える前に受付が終了することもあるため、早い時期からチェックしておきましょう。
Q.その年の控除に含めるための、返礼品申し込みの期限は?
A.税金の控除は1月1日~12月31日に行った寄付が対象です
寄付は通年できますが、税金の控除は、1月1日~12月31日に行った寄付の額が対象となります。
このため、税金の控除額に含めたい寄付は、その年の12月31日23時59分までに決済を完了している必要があります。
ふるさと納税の寄付ではいくつかの支払い方法が選べますが、支払い方法により決済完了のタイミングが異なります。
年末近くに寄付をする場合は、決済完了のタイミングを確認のうえで決済方法を選ぶといいでしょう。
主な決済方法と決済完了のタイミングは、以下となります。
・クレジットカード、PayPay、d払い:ふるさと納税ポータルサイトにて寄付の申し込み手続きが完了した日
・コンビニ決済:コンビニエンスストアで支払いを行った日
・ペイジー:インターネットバンキングやATMでの送金日
・銀行振り込み:自治体が振り込みを受領した日
また、年内の寄付の受け付けを12月31日よりも前に締め切る自治体もあります。あらかじめ確認しておくとともに、早めの手続きをおすすめします。
10. 節税にはならないが、やはりお得
Q. ふるさと納税では節税できますか?
A. 節税にはなりませんが、返礼品がもらえる分お得です
ふるさと納税では「寄付金額ー2,000円」の額が税金から控除されるため、「税金を前払いしている」といえます。
このため、ふるさと納税は節税にはなりません。
しかし、控除に加えて自治体から返礼品ももらえます。
つまり「実質2,000円の自己負担で返礼品がもらえる」と考えることができ、返礼品の分、お得だといえます。
高還元率の返礼品を選ぶと、さらにお得!
「還元率」の高い返礼品を選ぶことで、ふるさと納税制度をさらにお得に活用することができます。
還元率とは「その返礼品は、市場で購入した場合に比べてどの程度お得か」ということを示す指標で、数値が高いほど「お得」な返礼品だといえます。
ふるさと納税納税ナビ編集部では人気返礼品の還元率を調査し、ランキングを作成しました。
高還元率の返礼品を見つける際の参考にしてください。
まとめ
ふるさと納税制度をお得に活用するための、10の注意点をご紹介しました。
いくつかの注意点はありますが、ふるさと納税制度は地域を応援しながら素敵な返礼品がもらえるお得な制度です。ぜひこの記事を参考に、ふるさと納税制度を大いに活用してください。
この他にも、高還元率の返礼品や使いやすいふるさと納税ポータルサイトが見つかる記事、ふるさと納税制度をより良く理解するための記事などもご用意しています。あわせてぜひご覧ください。